平成2年12月25日の段の話は、長かった。
「尽きるところは、猊下は200万人の創価学会員のうちの1割、つまり20万人が山につけばいいと考えています。年が明ければ、全国各寺院で元朝勤行会です。創価学会側も黙っておらず、大混乱になるでしょう。
池田を罷免して、
『すみませんでした』
と言ってくれば、
『大願寺の一信徒となるならば許してやる』
と、宗門側は対応することになっています。それ以外は一切、認めないということだそうです。しかし、そのような話は、創価学会側が呑むはずもありませんから、結局は、
『池田は破門になります』
と、猊下は言っていました」
明けて26日の朝、西山温泉は白一色の雪の中に埋まっていました。慶雲館から一行は、なぜか身延山久遠寺に参りました。本地のなせる業でしょうか。
内藤は、信仰などとは無縁な反創価学会ライターであることしか知られていません。ところが久遠寺に参ったときの内藤は、線香の束に火をつけ、しばらくの間、合掌し祈っていました。これには同行の者たちも、含み笑いをしていました。
久遠寺参りを終えた一行は、小田原駅前の飲み屋に入りました。
そこで段は、あらかじめ入手していた創価学会攻撃の極秘作戦書を、皆に見せたのです。
段は、
「この作戦書は、実は半年前の夏には作られていたものです。名前は正規には、創価学会分離作戦と呼ばれ、暗号名は『C作戦』と呼びます」
と説明し、作戦書を広げました。作戦書はA4判の紙を四つ折りにしたもので、段はそれを2セット持っていました。
「これが創価学会分離作戦、つまり『C作戦』です」
さらに段は、
「この日付は8月ですけど、今回もこれと同じように進んでいますよ」
と述べました。作戦書を見ると、次のような文言が確認されました。
○ ○
「池田大作の総講頭罷免」
「創価学会の役員の半数以上は僧侶から選出する」
「池田大作は名誉会長のままで、一切の権限を持たない」
「ただし、給料はこれまで通り支払われる」
「池田大作は自宅で待機する」
「第一庶務の解散」
「『聖教新聞』には池田大作に関する一切の記事を掲載しない」
「朝日、毎日、読売、サンケイの全国4紙に、創価学会と日蓮正宗とは一切関係のない宗教である旨、広告を1週間出す(費用・1億2000万円)」
「テレビ、ラジオ等を通して創価学会と日蓮正宗は全く関係のない団体である旨、アピールする」
「池田大作を罷免した後、学会員が創価学会、日蓮正宗どちらに帰属するかは、学会員の自由な選択に任せる」
○ ○
創価学会側が「C作戦」に関連する一連の情報を入手したのは12月27日未明のことでした。報告内容が極めて精度の高いものであることはすぐさまわかりました。
これらの情報を創価学会本部に持ち込んだ者は、次のように言葉を添えました。
「創価学会員に、いま得ている情報のすべてを開示してやってほしい。学会員は、第一次宗門問題のとき、ともに戦った人たちです。すべての情報が開示されれば、判断に迷うことはありません」
情報入手者が創価学会本部で報告を終えたのは、午前1時過ぎのことでした。
つまり、池田先生に対する故なき懲罰を課すための宗規を改悪する27日の未明のことでした。
(以上第25報)