このたび㈱報恩社の代表取締役・北林芳典主幹が『回想録』を著されました。その著書は『一粒の白い砂』(副題「善に順じて悪に抗う」)と題し、宗門の暴虐、山﨑正友の悪事、策士としての河辺慈篤のことなど、その内幕、真実が明らかにされており、許されざる悪逆非道の真相を知ることにより、改めて憤慨をいたしております。
宗門問題と言えば、私はファックス通信の「地涌」のことを思い出します。このファックス通信は、平成3年1月1日より毎日、送られてきました。それを人づてに入手して読み、創価学会に対する宗門側の多岐にわたる切り崩しが展開されていることを知りました。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と、危険を顧みず、あえて渦中に飛び込み、日蓮大聖人の仏法を守り、学会本部を守るための獅子奮迅の闘いに心底、感心しています。私にはとてもマネのできないことです。
そして、真実を確かに記憶されて綴っていることに驚愕しております。ともかく歴史の事実として後世に留め置く貴重、かつ重大な『回想録』だと痛感しています。
私は北林主幹が、宗門問題、山﨑正友裁判などで赤心より創価学会を守護し、なかんずく命を賭して池田先生をお守りされてきたことは、紛れもない事実として認識しておりました。
また『回想録』を拝見し、㈱報恩社設立に際しては、大変に苦労されたことを初めて知りました。
先駆者の道は苦難の連続であり、また松下翁は「苦労は買ってでもしろ」と言われたそうですが、北林主幹の場合は先の見えない苦難でした。資金は無し、経験も無し、応援も無し、まさにゼロからの出発で、とても私には不可能なことだと思います。
エピソードの中で、お母様とお樒を販売した時の様子は、東京戸田記念講堂での会合の帰りに見かけておりました。その時の様子を知って、涙が出る思いで本当に感慨深いものがあります。
この『回想録』により、重要な真実が再び明らかになったように思います。私の経験から、書くには満々たる生命力が必要だと思います。そしてこの『回想録』を、多くの方々に読んでいただき、血肉化した珠玉の感動を後世の人々にお伝えしていただければと思います。
2021年11月
㈱報恩社 相談役
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元聖教新聞社の編集
『大白蓮華』『日蓮大聖人御書講義録』
『仏教哲学大辞典』編集委員など
東洋哲学研究所・元研究事業部長